長距離走のデッドポイントとセカンドウィンド
持久走については、辛いというイメージを持っている方が多いと思います。だからこそ、走りたくないと感じてしまうことになるわけですが、実は最初から最後まで同じように苦しいわけではなく、波があります。その中でも重要なのがデッドポイントとセカンドウィンドの2つです。
長距離走のデッドポイント
名前からしても良い印象は受けないと思いますが、デッドポイントは一時的な酸素不足によって苦しく感じる状態を指します。体は長距離走に合わせて機能しますが、常に最適な状態で対応するわけではありません。
循環器や呼吸機能がしっかり長距離走に対応することができるまでには時間がかかりますので、それまでは苦しい思いをすることになりますが、その時間帯を抜けると体が楽になります。デッドポイントでペースを落としてしまうと、それまでになってしまいます。したがって、ここでスピードを緩めないことが大切です。
また、スタートの前に十分にウォームアップをすることによって、デッドポイントを軽減することができます。マラソンの中継を見ていると、スタート前に盛んに体を動かして温めているのが分かります。一見すると体力を無駄に消費しているように見えるかもしれませんが、これによって長距離走におけるデッドポイントを抜けやすくなるのです。
長距離走のセカンドウィンド
苦しいのがデッドポイントであるのに対し、体が楽になるのがセカンドウィンドです。辛くなった後に体が軽くなってすいすい走れる感覚を味わうことで、長距離走が好きになる人は少なくありません。
逆に言えば、セカンドウィンドを体験しないと長距離走の醍醐味を十分に噛みしめたとは言えないでしょう。スタートからゴールまで、時間の経過に比例して苦しさが増していくわけではないところに奥深さがあると言えます。
ただし、セカンドウィンドを体験するにはある程度の持久力があることが求められます。したがって、基礎体力が欠如している場合には難しい性質を持っています。
なお、ゾーンと呼ばれる状態もあります。これは競技中に異常な集中力を発揮することによって生じるもので、トップアスリートであっても生涯に数えるほどしか体験できないとされています。したがって、長距離走においてゾーンを経験することはなかなか難しいと言えるでしょう。
ゾーンになった場合の体験談として、自分の体を第三者の視点から眺めていたり、予測能力が大幅に高まることで先の展開を読めるといったことや、対人競技なら相手のスピードが遅く感じられるといったことがあります。